[特性曲線を得るための露光を考える]
感光材料に光量を変えた露光を与えるためには,光源の光量を段階的に変えて露光していけば良いのですが,それはとても煩雑な作業になります。そこで光楔と呼ばれるものを使用します。楔(くさび)とは連続的,または段階的な濃度勾配をもつフィルムまたはガラスに焼き付けられたマスクです。マスクの起点からの位置を横軸に,その点の濃度を縦軸にとってグラフを描くと直線になるその形が「くさび」と呼ばれる所以です。
ネガフィルムのような連続的階調を調べるためには光楔も連続濃度のものが良いのですが,濃度管理の簡便さから段階的な光楔が用いられることが多いようです。これをステップウェッジ(wedge=くさび)またはステップタブレットと呼びます。
この光楔に光を通すと,濃度に応じた露光が与えられます。ここでいう濃度とは前述したとおり10を底とした対数で表したものです。濃度Dの部分を通る露光量は対数表示で1/Dになることを利用し,一回の露光で感光材料に段階的な露光を与えることが出来ます。
ウェッジはKodakや富士, Stoufferなどから手に入れることができます(が,Kodakや富士のはびっくらするくらい高い)。用途に合わせて大きさ,ステップの数など各種ありますが,一般的な感光材料には濃度が0~3程度で(前述したとおり濃度とは10を底とした対数で表したもの),ステップ間の濃度差が0.15,長さが5インチ程度が標準的だと思われます。
透過用にはStoufferのT2115がこれに該当します。オルタナティブな印画用の露光にはTP4x5-21という4x5サイズのウェッジが良いと思われます。
[ウェッジのしくみと使い方]
ウェッジは濃度が正確に直線的に変化するように焼き付けられています。連続的なウェッジの場合は,たとえばその濃度勾配は0.3/cmなどと決まっています。連続ウェッジだと濃度の管理が面倒なので,段階的な濃度で焼かれたステップウェッジは各段階毎の濃度勾配が0.15/段などに設定されています。
Stouffer T2115の場合は,ステップ1が濃度0.05,ステップ2が0.20,ステップ3が0.35 ...というように21ステップ(濃度3.05)まで作られています(濃度幅は3.0)。
使い方はいたって簡単で,このウェッジに感光材料を密着させ,適度な露光を全面に与えれば,露光量が対数で3.0の幅を持つ(真数で1000倍のダイナミックレンジ)段階露光が一度に得られるわけです。
濃度差が0.15というのはEVで言うとほぼ1/2EVです。つまりStouffer T2115を使って露光すると,1/2EVステップで10EVのダイナミックレンジをもった露光を与えることにります。
log102=約0.3 つまり露光が2倍,1/2倍のときはlogで0.3異なるというのは記憶しておくと良いのです。つまり特性曲線の横軸で0.3離れているカーブは互いに感度が2倍(1/2倍)の関係であるということになります。
なお,市販のウェッジには「作りっぱなし」と「校正済み(calibrated)」の2つがあります。「作りっぱなし」とは出来上がったウェッジの濃度が文字通り作りっぱなしで,管理されていないもの。「校正済み」のものは濃度が測定されて製品と一緒にその数値が明記されたものが付いてくるものです。価格は校正済みの方が高価です。
ただ,ここでやろうとしている簡易的なセンシトメトリー用には作りっぱなしのウェッジで十分です(校正してあるものとしてないものの濃度誤差は±0.02程度で全く問題ない)。
ちなみに,このステップタブレットそのものの特性曲線を描くと当然のことながら原点を通る勾配1の直線となります。↓
センシトメトリートとは,この直線がどのくらい歪むかを確認する作業ということも出来るわけです。
...つづく..