■フィルムの特性を知る■
アマチュアによるアマチュアのためのセンシトメトリー超入門
センシトメトリー(sensitometry)とは「感度」と「測定法」の合成語で,写真の感光材料の諸特性を測定し評価する方法のこと。
フィルムや印画紙(または撮像素子の出力した画像)の性能を評価する基本中の基本で,センシトメトリー抜きに感光材料を語ることは出来ない。その起源は1876年のFerdinand HurterとVero Charles Driffieldの研究までさかのぼるという。
写真画像の評価にはさまざまな項目があるが,その中で写真の感度と階調はとりわけ重要である。写真画像とは被写体の光を取り込みそれを再現するものであるから,その本質部分を取り出せば<光という「入力」に対して画像という「出力」を対応させる数学的関数関係>に尽きる。したがって感光材料のy=f(x)なる関係を明確にし視覚化することが出来れば,レンズが捉えた光の強度に対して記録する画像がどの程度の濃度で表されるのかを1対1の対応で寸分違わず表記出来ることになる。
結論を急げば,入力された光の強さを横軸に,それに対する感光材料の表す濃度を縦軸に取ったH-D曲線を描くことがセンシトメトリーの目的と言える。
一般被写体を撮影したフィルムや印画紙,撮像素子の画像を見て「画像がクリアだ」「色に深みがある」...などと評価することはアマチュア写真家においては日常であるが,そういう評価は官能評価と言ってよいだろう。画質を左右する要素は非常に多岐に渡っていてレンズやフィルムの解像度,コントラスト,分光感度...それぞれの数値は出せるが,それは画質を左右する一面を見ているだけであるし,今の技術ではまだ見つけられていない画質の評価項目というのもあるはずである。だから総合的に,そして人間の感覚的な評価も含めて画質を判断することになる。その人間の感覚で判断する部分を官能評価と呼ぶ。
今の評価ではこの官能評価を無視することは出来ず,極端な例をあげれば,MTFの数値だけでレンズの性能を判断するなどというのは言語道断であるとも言える。
フィルム,印画紙,撮像素子の評価項目の中で「感度,階調」はどうだろうか。これは100%に限りなく近くセンシトメトリーを押さえることで評価することが出来る。だから「このフィルムはシャドウが粘る」とか「ダイナミックレンジが広い画像」などという感覚的な表現はセンシトメトリーを持ってすればたちまち数値として曖昧無く表現することが出来るのである。
フィルムや印画紙のセンシトメトリー的特徴をしっかり把握していれば,それに対応する科学的根拠をもった表現方法を合理的に見出すことも出来る。
アマチュア写真家の中にはレンズの評価において必要以上にMTFの数値にこだわったり,逆に数値のみで表現出来るはずの画像の階調において妙に神秘的で感覚的な評価をするなど不合理な側面が見られることがある。まずはセンシトメトリーを自分の写真ワークの基礎に取り入れてみよう。あるいは実行はしないまでも,この理屈を写真をつくるための基礎知識に加えよう。日本の写真文化のレベルを上げるためにも!
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